角川ソフィア文庫「万葉集」が1万6000部の緊急重版決定!

2019年5月1日の皇位の継承を受けて改元予定の新元号「令和(れいわ:Reiwa)」。その典拠となったのが日本最古の歌集とされている「万葉集(まんようしゅう)」です。

 

万葉集とは、主に飛鳥時代や奈良時代といった7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた和歌集で、天皇や貴族をはじめ、防人や農民など様々な人の歌を集めたもので、全20巻からなり、作者不詳のものを含めると2600人位上もの人の和歌が掲載されています。

 

編纂(へんさん)者に関しては奈良時代の貴族「大伴家持(おおとものやかもち)」が有力とされていますが確固たる証拠はないそうです。

とはいえ、万葉集で一番作品数が多いのが男性では「大伴家持」、女性では家持の叔母さんにあたる「大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)」の作品がトップですし、今回の「令和」の典拠とされる『万葉集』巻五の梅花の歌32首「序」の

「初春の月にして 気淑(よ)く風(やわら)ぎ 梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き 蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す」

は、家持の父であり、大宰帥(だざいのそつ・太宰府の長官)でもあった「大伴旅人(おおとものたびと)」の邸宅内の梅園で開催された「梅花の宴」の宴席で詠まれた32首の序文からの引用ですし、大伴家持が深い関わりがあったことは否めないところでしょうか。

 

そんな古き善き日本の自然や歴史、文化を知る事のできる『万葉集』が改元きっかけで再注目され、各書店でも注文殺到とのことで、角川ソフィア文庫では「万葉集」関連書籍が1万6000部の緊急重版を決定、順次追加の重版も検討中とのことです。

 

なかでも累計20万部を超えている『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 万葉集』は、日本最古の歌集から名歌約一四〇首を厳選し、万葉集のエッセンスを現代人にやさしく解説したベストセラーです。Amazonの「万葉集の売れ筋ランキング」でも閲覧時には1位でした。

 『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 万葉集』

 

 

また、シリーズ累計6万部で、全首を歌群ごとに分けて現代語訳を付した『新版 万葉集 現代語訳付き』(全四巻)の場合、今回の巻五梅花の歌32首「序」が掲載されているのは第一巻の385から386ページになります。

 

 

 

歴史上初めて元号に国書を典拠としたことや、「令和」が「のりかず」という人名に用いられることなどから早稲田大学政治経済学部学部長で憲法学者の川岸令和さんや、名前が逆さまの「和令(かずのり)」なお笑い芸人・メイプル超合金のカズレーザーさんなどは一躍、時の人に。

また、安倍総理の

厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、「令和」に決定いたしました。

 

の言葉にも「希望」という言葉がありましたが、「令和=REIWA」という発音がチベットの「རེ་བ(rewa)」と似ているということでも話題になりました。

チベット語で「rewa」とは、まさに「希望」という意味だそうです。そして、在日チベットの人たちにも

 

「日本の新元号に、チベット人が『希望』をもらった気持ちです」

 

と言ってもらえて、こちらとしても幸せな気分になりました。

令和元年となる来月。温故知新と未来への希望をもって頑張っていきましょう。

 

追記:学研の『まんがで読む 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集』も大増刷になったそうです。手軽にまんがで読んでみたい方は電子版もあるのでどうぞ。(品薄ですが紙書籍の定価は本体1300円+税ですのでご注意ください。kindle版は2019年4月3日22時現在649円です)