『マイマイ新子』(ちくま文庫)

 

興行収入20億円超えという片渕須直監督の大ヒットアニメ映画「この世界の片隅に」。

その片渕須直監督の前作「マイマイ新子と千年の魔法」の原作である『マイマイ新子』が、片渕須直監督の「解説」と浦谷千恵作画監督の描き下ろし挿画付きで文庫化され、本日2017年6月8日(木)に発売されました。

 

こちらは2009年に劇場公開された「マイマイ新子と千年の魔法」の公式プロモーション動画

 


「マイマイ新子と千年の魔法」90秒プロモーション映像

 

原作「マイマイ新子」は、1984年に「光抱く友よ」で芥川賞を受賞された芥川賞作家・高樹のぶ子さんの自伝的小説で、昭和30年代の山口県国衙(こくが)が舞台。(※「高樹のぶ子」の「高」は正式には「はしご高」です。上記文庫表紙をご参照下さい)

 

空想好きな小学3年生の少女・新子と東京からの転校生で引っ込み思案な少女・貴伊子らとの友情と、戦争の傷を負いながらも懸命に生きる大人たち、変わりゆく時代の中で成長する日々などを懐かしくも切なく描いた作品です。

こちらがその挿画の一部です。

浦谷千恵作画監督描き下ろし挿画
イラスト「広島」
浦谷千恵作画監督描き下ろし挿画
イラスト「チョコレート」

 

また、片渕須直監督の「解説」の中に作者の高木のぶ子さんとのやり取りの記述もあります。

 

ようやく『マイマイ新子と千年の魔法』という題でアニメーション映画化しようと目論みが立った頃には、毎日毎日日が暮れるまで遊びまわった子ども時代の楽しさなどというものに留まらない「描くべきもの」が自分の中にも蓄積されていたようだった。
あらためてお目にかかった高樹さんからはこのようにいわれた。
「映画に作るときにどういうふうに変えていただいてもかまわないんです。ただひとつここは大事にして欲しいというものがあります」
――それは『切なさ』なんです。
と、高樹さんは続けられた。もはや意外とも思わず受け止めることが出来たように思う。

 

映画「マイマイ新子と千年の魔法」は第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞し、文部科学省特別選定(対象:少年向き)、文部科学省選定(対象:青年向き、成人向き、家庭向き)にも選ばれたり、第20回シネ・ジュニア映画祭(仏)観客賞、第29回ブリュッセル・アニメーション映画祭・大人向け最優秀観客賞・BETV作品賞など、世界でも愛されている映画になっています。