漫画 君たちはどう生きるか

昨年8月に発売された『漫画 君たちはどう生きるか』。児童文学者で雑誌『世界』初代編集長だった吉野源三郎さんの原作小説を漫画版として若干アレンジして出版されたもので、原作は何と1937(昭和12)年の発行。時代的には第二次世界大戦(1939年から1945年まで)の少し前。軍国主義が進み始め、世の中が混沌としてきた時代に生まれた原書。

岩波少年文庫の創設にも尽力した吉野源三郎が、ヒューマニズムに根差し、自分の頭で考えられる子どもたちを育てたいという想いを持って「日本少国民文庫」シリーズの一つとして刊行した物語で、友人との関係、ものの見方、真実、勇気などを学び、考え、成長していく物語。

池上彰さんや宮﨑駿さんらの愛読書としても知られる歴史的名著としてTVや雑誌で取り上げられ、瞬く間に増刷を繰り返し、わずか5ヶ月で2018年1月10日重版出来分で単独100万部という異例の発行部数になるそうです。

知的好奇心旺盛な少年の「コペル君」と、元雑誌編集者でコペル君の亡き父親代わりに暖かく彼を見守る叔父さんとの心温まるやりとりから成長していく少年の姿を描いたもの。漫画版ではその叔父さんから渡される助言「ノート」はそのまま活字で記載され、さらに叔父さんもコペル君を導きながらも自らも成長していくというような要素が加わり、子供だけでなく大人にも愛される漫画に。

激動の時代。太陽が地球のまわりを回っているのではなく、地球が自ら動いて太陽のまわりを回っているという地動説を唱えた「コペルニクス」のあだ名をもらったコペル君のように、自分中心ではない「ものの見方」が必要な時代だからこそ売れているのでしょうね。

電子書籍版なら手軽に立ち読みもできますよ。

また、併せて同時に刊行された小説の新装版も、活字を大きく仮名遣いも現代風に改めて読みやすくなっていて、こちらもも30万部を突破したそうで、一大ブームになっています。

新年の最初に読む本としても、これからの新入学や進級などのプレゼントにも最適ですね。