京都府南部に位置し、国宝・石清水八幡宮の門前町として発展してきた京都府八幡市(やわたし)。
その八幡市が、市制施行40周年を機に昨年創設した「徒然草エッセイ大賞」の第二回目となる作品募集が2018年6月8日に開始されました。
「徒然草エッセイ大賞」の「徒然草(つれづれぐさ)」とは、ご存知鎌倉末期に吉田兼好法師によって書かれたエッセイ集で、日本三大随筆文学のひとつとされているもの。
ちなみに他の2つは同じく鎌倉時代に鴨長明(かもの ちょうめい)によって書かれた『方丈記(ほうじょうき)』と、平安時代に清少納言(せいしょうなごん)によって書かれた『枕草子(まくらのそうし)』です。
そして、なぜ八幡市が「徒然草エッセイ大賞」を創設したかというと、『徒然草』の中でも有名な第52段が石清水八幡宮のお話だから。
こちらがその第52段です。
徒然草第52段
仁和寺(にんなじ)にある法師、年寄るまで、石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩(かち)よりまうでけり。極樂寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年比(としごろ)思ひつること、果たし侍(はべ)りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」と言ひける。
すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。
引用元: 石清水八幡宮:はちまんさんと徒然草 徒然草第52段
要約すると、仁和寺の年老いたお坊さんが今まで一度も石清水八幡宮をお参りしたことがないからと、思い立ってお参りに行くのですが、山麓にある極楽寺と高良神社のみをお参りして満足して帰られます。そして後日知人に「念願かなって八幡宮にお参りして来たけど噂に違わず凄かったよ。でも、みんな山の方に登っていったけど何かあったんだろうか。行ってみたかったけどお参りに来たのが目的だったのでやめました」と。実は石清水八幡宮の御本殿は男山山上にあるため、ちょっとしたことでも案内者(指導者)は必要ですよねっていうお話です。
ちなみにこの話に出てくるる極楽寺は慶応4(1868)年1月の「鳥羽伏見の戦い」で焼失したため、現在はありません。
また、余談ですが、石清水八幡宮境内の隣に「エジソン記念碑」も建立されています。これは、エジソンが白熱電球のフィラメントに使ったのが八幡の「八幡竹」で、最も長持ちのする最高の竹だったのが、石清水八幡宮界隈の男山周辺の真竹だったからだそうです。
さて、そんな石清水八幡宮を擁する京都府八幡市と八幡市教育委員会が主催する「第二回 徒然草エッセイ大賞」の応募概要はこちらです。(以下、プレスリリースより抜粋)
第二回 徒然草エッセイ大賞 募集要項
募集テーマ「旅立ち」
生まれて初めての旅行、あこがれの場所への旅立ち、新しい生活や社会への旅立ち・・・人生には様々な旅立ちがあります。あなた(または、あなた以外の誰か)が体験した印象的な“旅”や“旅立ち”、未来に描く旅の夢などを、あなたの喜びや驚き、思いや理由をまじえて紹介してください。
字数と賞
●一般の部:2,000字(400字詰原稿用紙5枚)以内
大賞1編(副賞20万円)、優秀賞3編(副賞5万円)、佳作5編(副賞1万円)
●中学生の部:1,200字(400字詰原稿用紙3枚)以内
大賞1編(副賞1万円)、優秀賞3編(副賞5千円)、佳作5編(副賞3千円)
※副賞は図書カード
●小学生の部:800字(400字詰原稿用紙2枚)以内
大賞1編(副賞5千円)、優秀賞3編、(副賞3千円)、佳作5編(副賞2千円)
※副賞は図書カード
選考委員
山折 哲雄(国際日本文化研究センター名誉教授) ※選考委員長
茂木 健一郎(脳科学者)
中江 有里(女優・作家)
田中 恆清(石清水八幡宮宮司)
寺田 昭一(編集者・PHP総研シニアコンサルタント)
堀口 文昭(八幡市長)
(敬称略)
主催・共催・後援
主催:八幡市 八幡市教育委員会
共催:PHP研究所 協力:石清水八幡宮
後援:京都府 京都府教育委員会 歴史街道推進協議会 古典の日推進委員会
(一社)八幡市観光協会 八幡市商工会 八幡市工業会
応募方法
作品とは別の用紙に、作品タイトル・氏名・年齢・性別・職業・学校名と学年(小中高生の場合)・住所・電話番号・この賞を何で知ったか・(お持ちの場合は)Eメールアドレスを明記し、必ず作品に添付して、「郵送」「Eメール」「ホームページ内所定フォーマット」のいずれかで、下記へご応募ください。
■宛先:「徒然草エッセイ大賞」事務局
〒614-8501京都府八幡市八幡園内75
八幡市教育部社会教育課
電話:075-983-1111(代表)
E-mail:yawata@tsurezure-essay.jp
HP:http://www.tsurezure-essay.jp
応募締切
平成30年9月30日(日)※必着
入選作発表
〇平成31年2月初旬までに、入選者のみに結果を通知します。
○平成31年3月16日(土)開催の授賞式に併せ、専用HP上で入選作を発表し作品を公表します。
○大賞3作品は、小説・エッセイ文庫「文蔵」(PHP研究所発行)誌上に採録します。
○入選作品集を作成し、入選者に提供します。
授賞式
平成31年3月16日(土)午後1時30分より、石清水八幡宮にて授賞式を行います。大賞および優秀賞受賞者には旅費を負担します(佳作受賞者は自己負担をお願いします)。
<応募上の注意>
*プロ・アマは問いません。どなたでも応募できます
*応募は、1人1作品に限ります
*国籍は問いませんが、日本語作品に限ります
*応募作品はオリジナルで未発表のものに限ります
(入選決定後、著作権問題が判明した場合は入選を取消します)
*応募作品は返却しません
*審査や結果に関するお問合せには応じかねます
*規定文字数以内であれば、文字数の多寡は審査に影響を及ぼしません
*学校・学級・クラス単位の応募も可能です
*入選作の著作権は主催者に帰属します
*応募で得た個人情報は当事業以外の目的で使用しません
詳細は募集サイトにて改めてご確認ください。 >>> http://www.tsurezure-essay.jp
昨年の入選作品も掲載されていますので、傾向と対策用にご訪問されることを推奨いたします。