小学校で習う「つるかめ算」や「旅人算」など15種類の「和算」が収録されている『絵解き 和算ドリル』が小学館より本日2024年3月13日(水)に発売されました。
和算(わさん)とは、ヨーロッパ生まれの「洋算」(ようさん)とは異なる、日本独自の算数・数学として呼称されているもので、問題をわかりやすく「つる」と「かめ」で例えたり、「旅人」や「盗人」「時計」「油」など身近なもので例えて答えさせる学問で、江戸初期の1627(寛永4)年に京都の和算家・吉田光由(よしだ・みつよし)が、和算の入門書『塵劫記』(じんこうき)を書き、これが全国の寺子屋などに広まっていったと言われています。
また、図形問題としては2種類の色板パズル「清少納言 知恵の板」が付属。こちらは「枕草子」など知的な女性として平安時代に活躍した「清少納言」をイメージし、その名前を関して1742(寛保2)年に出版された同名書籍にて紹介されていたシルエットパズル(タングラム)です。
ちなみにこの色板を紹介した大正時代の本では、この7枚の板で作ることができる形を42種類も紹介していますが、本書では色板の表(おもて)面だけでつくことができる17種類の形を紹介し、実際に作って遊べるように「清少納言 知恵の板」が付属しています。
『絵解き 和算ドリル』の付録「清少納言 知恵の板」紹介!
ちなみに本書では、江戸時代から大正時代に書かれた和算書などの中から、小学4年生までの学習内容で解ける問題、中学受験でよく使われる問題などが収録されています。
下記は例です。
【旅人算の問題】:京都の師匠が1日に7里半(7.5里)ずつ歩いて江戸に向かい、同じ日に江戸の弟子が1日に12里半(12.5里)ずつ歩き、京都に向かいました。ふたりが出会ったのは、何日後でしょう。また、それぞれが歩いた距離は何里でしょう。なお、京都と江戸の間は120里とします。
答え:ふたりが出会ったのは6日後。歩いた距離は師匠が45里、弟子が75里。
【盗人算の問題】:どろぼうたちが、盗んだ絹の反物を橋の下で分けています。橋の上を通りかかった人がその声を聞いたところ、反物を7反ずつ配ると8反余り、8反ずつ配ると7反足りないといいます。このとき、反物は全部で何反あるでしょう。
答え:113反
また、単に問題だけでなく、問題に関連したコラムやまめちしきも多数収録されていて、江戸時代の距離や重さ、お金の単位に、江戸の庶民の結婚適齢期、お寺や神社に奉納された「算額」など、問題の背景にある江戸時代の暮らしや文化にも触れることができるので、物語や歴史が好きな方は、より楽しくドリルに取り組むことができます。
『塵劫記』を書いた吉田光由は、問題を解くために考えたり、計算したりする中で、パッとひらめくことを「算勘」(さんかん)といい、「算勘」の力を磨こうと読者に語りかけているとのこと。
受験などのほか、大人の脳トレとしても江戸時代の子どもたちにチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。
収録問題:1 裁ち合わせ(色板パズル1) 2 馬乗り算 3 旅人算 4 薬師算 5 方陣 6 年れい算 7 拾い物 8 盗人算 9 つるかめ算 10 俵杉算 11 入れ子算 12 油分け算 13 裁ち合わせ(色板パズル2) 14 時計算 15 町見術 16 容術
著:西田知己
定価:1,320円(税込)
仕様:B5判・82ページ 本文2色
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